輪郭の揺らぎを楽しむ芸術
杼が織機を動く前に、糸の束を括って染め分けることで、イカット独特のかすれた模様が生まれます。19世紀の中央アジアでは、この防染技法は地域の職人たちの密接な協力に支えられていました。ユダヤ人職人が深い藍染を、タジク人の染め職人が鮮やかな赤や黄を担当し、ウズベク人の織り手があらかじめ模様を染めた糸を組み合わせ、複雑な幾何学文様を織り上げました。
柄は完成した布に印刷されるのではなく、糸そのものにあります。そのため織るときにわずかなずれが生じ、水彩画のような柔らかな輪郭になります。商人がグジャラートの絹織物を海の向こうのインドネシアへ運ぶと、現地の職人も揺らぐ線を取り入れ、地域の伝統に織り込んでいきました。
イカットの柔らかく揺れる輪郭は、くっきりしたデジタルプリントよりも、なぜ現代の部屋に自然な落ち着きをもたらすのでしょうか。